始まりがあって終わりがある

さて、先日、歌手の安室奈美恵さんが引退をされた。
彼女は、デビューが1990年初頭だったはずなので、ちょうどバブルが終わる頃に芸能界にデビューした形となります。
なんとなくですが、景気とそれを映す様な番組にも関連がありそうです。
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TBSの8時だョ!全員集合は、1969年から1985年まで、フジテレビのオレたちひょうきん族は、1981年から1989年に終了します。
バブル景気と比較するとバブルは、1986年から1991年までとなっています。

8時だョ!全員集合は、ちょうどバブルの前年に終了していますが、戦後の日本の経済的には、オイルショック等もありましたが、基本的には右肩上がりだったと言っていいでしょう。
では、なぜ8時だョ!全員集合は終了したのでそうか?
それは、オレたちひょうきん族の台頭ももちろんですが、フジテレビのオレたちひょうきん族は、日本の好景気を実感できた時代雰囲気を一番よく反映していたからだと思います。
8時だョ!全員集合は、いざなぎ景気から田名角栄さんの列島改造景気の最中に番組が始まり、当時としての雰囲気をつかんでいたのだと思います。
しかし、その景気の良さの中には「狂乱」という要素はまだなかったのだと思います。

また、貧困が戻ってくるかもしれないという緊張感のある中、好景気に浮かれるまでの楽観はなかったのだと思います。
しかし、バブル景気は、8時だョ!全員集合をみて育った世代が大人となり、不安より好奇心が、消極よりも積極が当然だと思っている世代へと変わっていきました。
オレたちひょうきん族は、いい意味で「慎重さ」がない番組だったと思います。
これは、日テレでビートたけしさんがMCをしていた元気が出るテレビでも同じですが、これをやったら面白いだろうが先行して、リスクに関しては二の次三の次となっていたと思います。
でも、それが時代の流れだったと思います。
土地価格は、上昇をし続け、経済成長は、これまで通り進むとだれもが疑っていなかったのです。

8時だョ!全員集合は、いかりや長介の逸話として、作りこまれた台本をもとに徹底的な稽古を行った上で本番を迎えるのが当たり前だったそうです。
他のメンバーはそれが嫌で嫌で仕方なかったそうですが、これは、失敗しない為に最善を尽くして面白いものを提供するという、その時代の当たり前が反映していたのだと思います。
これは、先ほども指摘した「不安よりも好奇心を、消極よりも積極を」の精神には合致しません。
作りこまれた台本はとてもいいものですが、いろいろな物を吸収し発表する場合には時間が掛かってしまい、発表した段階では古さを感じてしまうのだと思います。

オレたちひょうきん族は、明石家さんまさんが語っていますが、台本はあったようですが、どちらかと言えば個々の芸人さんのアドリブで構成されていました。
結果として想定外のことだらけなのですが、そこを含めて面白いと時代は思い始めていたのだと思います。

上記の状況ですが、実は現在のテレビとネット配信との関係に似ているような気がします。
無茶をしすぎたテレビはいろいろな規制が働き、80年代にやっていたことはほぼできなくなっているようです。
逆にネット配信の方は、まだ規制が緩く無茶も許される様です。

来年、平成が終了する時代の節目を迎えます。
安室奈美恵さんの引退は、個人の都合ではありますが、一つの時代が終わり、新しい時代の始まりを告げるものなのかもしれません。